[2008.9.18] -[政策と実績・くらし・福祉・議会報告]
市は今議会に、「公的年金からの住民税天引き」などを含む条例改定を提案。日本共産党は、総務文教常任委員会において、すでに年金からは介護保険料や後期高齢者医療保険料などが引かれており、これ以上の年金天引きは高齢者の生存権を侵害するものだとして反対しました。
4月に自民・公明の与党により地方税法の改悪が行われました。今回の条例改定はそれに伴うもので、65歳以上の人が受け取る公的年金から、個人住民税を天引きする特別徴収制度を導入するものです。
政府は導入理由を、年金受給者の納税便宜や徴収の効率化を図るためとしており、天引きが実施されるのは、平成21年10月支給の年金からです。
総務省によると、年金受給者のうち特別徴収の対象者数は5百~6百万人ということですが、本市の特別徴収は、約5千人が対象だということです。
特別徴収を実施するにあたって電子システム整備が必要となります。国は、初年度「個人住民税公的年金特別徴収システム開発委託料」として交野市へ交付税措置(約2千万円)を行っています。しかし、次年度以降の交付税措置は決まっておらず、自治体の新たな財政負担が予想されます。
また、これまで住民税の支払いが困難な場合などには、減免や分割納付などが認められていましたが、市は、「今回の制度改定で分納は考えられない」と答弁しました。
住民税の年金天引きは、消費税と同様、まさに〝取りやすいところから取る〟手法です。介護保険料に始まり、国民の怒りが爆発している後期高齢者医療保険料、そして交野市では10月から国民健康保険料の年金天引きも行われます。
消えた年金問題が、未だ解決されていない状態のもとで、本人の意向をふまえないやり方に、年金収入のみの高齢者からは、「生活費より、また先にとられるのか」と怒りが広がっています。
住民税は自主納付が基本であり、公的年金からの天引きは憲法25条の生存権を脅かすものです。
①特別徴収の対象者 ―――
65歳以上で老齢基礎年金受給者で、
●年額18万円以上の人
●介護保険料 + 国民健康保険料・または後期高齢者医療保険料 + 住民税の合計額よりも老齢基礎年金の年額が多い人
②特別徴収の対象となる税額 ―――
公的年金等の所得にかかる均等割額と所得割額
③特別徴収の対象となる年金 ―――
老齢基礎年金等
※今回の交野市条例改定には、「ふるさと納税制度」「上場株式に係る譲渡所得等の廃止に伴う経過措置」なども含まれています。
2008年度から、出身地など居住地以外の自治体への住民税納付を可能にする「ふるさと納税制度」が実施されており、それに伴って、市町村での寄付金控除対象が拡充されました。
制度は、地方と都市間の財政格差が広がるなかで導入されたものですが、地方の財政危機の原因は、政府の「三位一体」の改革のもとで、交付税措置や補助金のカットがすすめられてきたからです。交付税の削減をやめ、交付税の拡充を行うべきです。
また、「株式譲渡や配当に係る税率の引き下げ」が決まりましたが、2年間は納税への軽減措置が適用されることになります。
同時期に導入された、定率減税や老年者控除はすでに廃止されており、資産家優遇措置は廃止すべきです。