[2009.1.6] -[議会報告]
交野市は12月18日、あまだのみや幼稚園の廃園案を延期する旨を表明しました。
市は当初、廃園案を12月市議会に上程する予定でした。しかし、9月に実施した市民の意見を聞くパブリックコメントや地域での説明会で多くの方々が廃園の中止を求めました。その結果、市は12月議会に上程することができず、また、議会では全会派から見直しを求める要望が出されました。そのため、市は3月議会への条例提案も断念し、延期を表明しました。
日本共産党は12月議会で、さかの光雄議員が廃園中止を求めて質問に立ちました。要旨を紹介します。
市は「財政健全化計画」(H16年)で、幼児園に関し「集約化による公設民営方式なども含め、課題整理を行い、民営化を進めます」としました。その後、市は「民間活力の導入に関する基本方針」(H19年)を定め、幼児園の方向として「将来の少子化を見据え、幼児園を今後の幼児数の状況に応じて縮小します」としました。
幼児園のあり方は、「就学前教育・子育て支援をどのように豊かにしていくのか」を出発点として検討すべき問題です。しかし、財政問題から出発したために、安易に縮小との誤った方向となりました。
市は9月、「交野市立幼児園の今後のあり方基本方針案」に対するパブリックコメント(市民意見の募集)を実施しました。今までのパブリックコメントに寄せられた意見をはるかに上回る195人の方から、310件の意見が寄せられました。幼稚園の廃園に賛成する意見はひとつもありませんでした。
また、市は10月以降に市民への説明会を3回実施しました。しかし、説明会でも廃園の中止を求める意見が集中しました。
市は「今後のあり方基本方針案」において、市の将来の就学前児童数を、国立社会保障・人口問題研究所がH19年に発表した大阪府の出生率を乗じてもとめました。そして、公立幼稚園の入園見込み数の減少数を計算し、あまだのみや幼稚園をH22年度の4歳児募集停止、H23年3月末に廃園するとしました。
しかし、就学前児童数の減少数の信頼性は乏しいものでした。その理由は、①大阪府より交野市の出生率が高いこと、②転入による社会増を見込んでいないこと、③H19年度に、H20年4月1日の0歳児を628人と予測しましたが、現実は662人でした。予測の1年後の数字も大幅に違い、また、0歳児の数は、H19年の648人より増えていました。
④将来数字は幅があるのに、幅や誤差を計算しなかったことにあります。
市は幼児数の減少を前提として、すぐに一つの幼稚園の廃園を選択しました。しかし、交野は幼稚園と保育所を同じ施設で開園する幼保一元化を実施しており、幼稚園児と保育所児の合同したクラス編成を行っています。仮に幼稚園児が少なくなっても、保育所児と合同のクラスのために、廃園しなくてもクラスの維持は十分可能です。市は幼稚園を廃園にし、空き教室をつくり、病後児保育の実施を計画しました。
しかし、3園しかない公立幼稚園の1園を廃止すれば、大きな問題となります。
それは、①私立幼稚園より公立幼稚園は費用が安い。②3園の中で1園が廃止されれば、通園距離が長くなり、公立幼稚園に通いにくくなる。③公立園は、障がい児も受け入れ、加配の先生も配置されている。よって、1園廃止は公立幼稚園への入園を大きく制限することになります。
市は、H22年度からあまだのみや幼稚園の4歳児募集を中止し、空き教室を利用して病後児保育を実施するとしています。しかし、保護者が望んでいるのは、病後児保育よりも病児保育です。今でも保育所は、体調のすぐれない子どもを受け入れています。近隣市でも、病後児保育より、病児保育の利用が多い状況です。
病児保育は、幼児園併設は困難であり、他市でも病院併設となっています。市として、病児保育実現に向けての真剣な取り組みこそ求められています。
交野市は、自然環境や交通の便に恵まれています。しかし、子育て支援は近隣他市より遅れています。今後の交野のまちづくりを考えるなら、若い世代が交野で生き生きと子育てができる施策の実施が求められています。
日本共産党は、次の4点をもとめました。
①あまだのみや幼稚園の廃園計画を即時に撤回すること。
②平成21年4月から予定している保育料金の値上げを実施しないこと。
③子どもの医療費助成を現在の4歳未満から就学前までに引き上げること。
④妊婦健診の公費負担の回数を引き上げること。